2014年11月10日月曜日

回想録


本流釣りの大物狙いにおけるセオリーとは、大場所での粘りだろうか。しかし、このスタイルを貫き通して報われるということは少ない。殆どの釣りが釣果無しということの方が多いかもしれない。だから、いつ動き出すか知り得ない大物と対峙する場合にはある程度の覚悟がいる。
 
7月に入った本流の大淵に早朝立つ。今日は朝から蒸し暑い。この時期のこんな日には大物が動き出すだろうと信じて大淵の攻略に手をつけ始める。しかし、今日の雰囲気とは裏腹に何の魚信もない。仕掛けを工夫していろいろ試すが、何の手がかりも得られないまま時間が過ぎていく。と、何の気なしに下流に目をやると、流れの無い所で魚がドーン!と跳ねた。居るな・・・でも違うな。そこで私が取った作戦は・・・寝ることだった。ダメな時はダメ。寝て時間を流そうと。
 
初夏の川原での昼寝はとても気持ちよく、どうやら寝すぎたようだ。目が覚めると目の前に釣り人が熱心に竿を振っている。
仕方ないので、もうひと寝・・・。
 
目が覚めると、先ほど居た釣り人の姿はなく、空が赤み始めている。あぁ寝すぎか・・。しかし、タイミングはジャストだったようだ。仕掛けを用意して流すと一発だった。目印が一気に消しこむようなアタリ。合わせた後に竿が綺麗な満月を描く。釣り人の最高の瞬間だ。獲り込むまでに魚は3回跳んだ。魚はヤル気満々だったが、一歩も引かない私もヤル気満々だ。そして、私の気合が少し上回り、魚にタモに入っていただいた。

魚は少し鼻が曲がり始めた大ヤマメだった。